明治~昭和初期の抵当権
「昔の抵当権がついているんですが、どうしたらよいでしょう」というお問い合わせをいただくことがあり、実際に登記内容を確認すると、「昭和2年 債権額金100円 利息年2割」といったような抵当権(このような抵当権を「休眠抵当権」と呼びます。)がついていることがあります。
(以下では、抵当権者は個人とし、法人・会社は除きます。)
たいていの場合、抵当権をつけた当事者はお亡くなりになっていますので、返済が終わっているのかといった事情は不明です。もし返済が終わっていたとしても、抵当権は申請しなければ消すことができないのが原則ですから、このままにしておくと半永久的に登記が残ったままになってしまい、ひいては処分したくてもできないということになります。
そこでこのような場合にいくつか取りうる方法があるのですが、一般的には次のような方法によります。
1.抵当権者の相続人の所在が分かる場合:協力を得て共同で、協力が得られない場合は判決を得て単独で抹消登記を行う。
相続人の所在が分かる場合には、遺産分割により抵当権を相続人に移転したうえで、抹消登記手続を行います。相続人が多数にわたる場合には、それぞれ連絡を取って話をまとめるまでに時間がかかります。また、協力してもらえない相続人がいる場合、訴訟で判決を得なければならず、さらに時間と費用がかかることになります。
2.抵当権者の相続人が所在不明な場合:弁済期から20年経過していれば、供託をして単独で抹消登記を行う。
元金と利息・遅延損害金を法務局に供託して債権が消滅したことを示すことにより、所有者が単独で抵当権抹消登記を申請する方法です。この方法は、あくまでも抵当権者(の相続人)が所在不明の場合で、弁済期から20年以上経過していることが必要ですが、これらを満たしさえすれば手続としては簡便な方法です。
もっとも、相続人の所在はわかっているが、上記1の方法では話をまとめるのに時間と費用がかかって面倒だから簡便なこちらの方法で、ということは職業倫理上できませんので、ご了承ください。
いずれにしても休眠抵当権を抹消する場合、住宅ローン完済時に行うような一般的な抹消登記手続と比べると時間がかかります。また、上記は抵当権者が個人という前提にしましたが、法人・会社の場合、「所在不明」と言えるための条件が厳しいこともあり、より一層大変な手続となります。先延ばしにすると、事案によってはより手続きが困難になる可能性もありますので、古い抵当権でお悩みの方は、お早めにご相談ください。

